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「やることはやってきた。あとは自分を信じてやるだけ」
昨年10月、北九州市にある小倉競輪場のトラックで長野魅切(みぎり)さん(21)は気合を入れた。
自転車に乗り、助走をつけて、ラインを越えると、一気にトップスピードへ。200メートルを無心で全力疾走した。
日本で唯一の競輪選手養成機関である、日本競輪選手養成所(静岡県伊豆市)。倍率およそ4.82倍の入所試験に、前年に続いて挑戦した。
「どうしても競輪選手になりたい。もう、次の夢は諦められない」
胸の中に、燃える思いがあった。
かつての夢は、甲子園出場、そしてプロ野球選手だった。
暗転した高校生活
小学5年生のころ、学校の陸上競技大会のソフトボール投げで1位を記録した。サッカー少年だったが、ボールを投げることが好きになった。
中学では軟式野球部に入った。プロ野球にもハマった。毎日のように、帰宅後はBSのプロ野球中継にかじりついた。
「甲子園に行って、プロ野球選手になる」
高校からは地元の松山市を離れ、別の高校を甲子園に導いた監督がいた愛媛県立吉田高校(宇和島市吉田町)に進学した。2018年春のことだ。
夢にあふれた高校生活はその…